院長コラム
2024.10.13
舌苔(ぜったい)という言葉を聞いたことがありますか?文字通り、舌の上に苔のような汚れがついていることをいいます。鏡の前で舌をベーっと出してみてください。白っぽい汚れが舌の上にたくさん付着していたら、それが舌苔です。
舌苔は病気ではなく、治療の必要はありませんが、あまり放っておくと口臭の原因になったり、カンジタ症などの感染症を発症する原因になったりします。今回は、舌苔の原因や対処法についてお話したいと思います。
舌苔の正体は、舌の表面の細胞に食べかすや細菌が付着した状態です。舌の表面はざらざらしていて、食べかすや細菌が付着しやすくなっています。付着した細菌は食べかすを分解するときにガスを発生させ、これが口臭の原因となります。舌苔が付着している部分には、新たな食べかすや細菌がますます付着しやすくなります。
歯に汚れが付着したらブラッシングをするのと同じように、舌にも汚れが付着するので定期的に清掃することが必要です。これを知らずに怠ってしまうと、舌苔が溜まっていってしまうのです。
唾液には、細菌や食べかすを洗い流す作用や、殺菌作用があります。唾液の量が少ない場合、舌の上の汚れが中々落ちず、舌苔の原因になります。唾液の量は、加齢に伴って少なくなったり、口をあまり動かさないと少なくなったりします。唾液が極端に少ないときは「シェーグレン症候群」などの病気が隠れている場合もあります。
口で呼吸をしていると口の中が乾きがちになり、唾液が少なくなります。そうすると、先ほど説明したように、舌苔が付着しやすくなります。口呼吸を続けていると、付着した舌苔が乾き、余計に落ちにくくなります。
生まれつき舌に溝がある場合があります。この舌のことを溝状舌(こうじょうぜつ)と言います。病気ではありませんが、普通の舌よりもでこぼこしているので、舌苔が付着しやすくなっています。
まずは舌の上をきれいにしましょう。食後のブラッシングの際に、舌の清掃も行うようにします。舌用のブラシやタングクリーナーもドラッグストアなどで販売されていますので、利用してみてもよいでしょう。
手元にない場合は、普段使っている歯ブラシで、舌の奥から手前へ、優しく撫でるようにして汚れをかき出してください。舌は歯と違ってやわらかく、あまり強い力で行うと傷がついてしまいますので注意してくださいね。できるだけ毛先のやわらかい歯ブラシを使うと良いと思います。1度に舌苔を落とそうとしないで、毎日少しずつ、時間をかけてきれいにしていきましょう。
マウスウォッシュには、細菌を洗い流したり殺菌したりする成分が含まれていますので、舌苔にも効果的です。マウスウォッシュにも、刺激が強くさっぱりするものや、ノンアルコールの低刺激のものなど、様々な種類がありますので、色々試して合うものを探しましょう。
口呼吸をしているなと自覚できる場合は、なるべく口を閉じるように心がけてください。もし、寝ている間に口を開けているなど、自分の力ではどうにもならない場合は、マスクを使うとある程度潤いが保てます。
唾液が少なかったり、病気などでこまめにうがいができなかったりなどの状況にある場合は、保湿剤を使用するのも良いです。最近は口腔ケア用品としてドラッグストアにも取り扱いがありますし、歯科医院で販売していることもあります。口腔内をなるべくきれいに清掃してから、仕上げに塗ってみてください。
※上記コラムに関するご質問・ご相談は、虎ノ門(神谷町)の歯科、岡田歯科クリニックへご連絡下さい。