院長コラム
2024.10.13
顎関節症とは、何らかの原因により、顎の関節の周りで炎症が起こり、痛みが出たり、口が開けづらくなるなどの機能障害が起きたりする病気です。痛みの程度は人それぞれで、治療をしなくても自然に改善してしまう場合もありますが、放っておくことで悪化し、慢性化してしまうこともあります。今回は、顎関節症の症状や予防方法、治療についてお話しします。
耳の前に指を当てて口を開け閉めすると、動く部分があると思います。この動いている骨が顎関節です。顎関節症になるとこの周辺に痛みを感じます。こめかみや、奥歯が痛いと感じることもあるので、頭痛や親知らずの痛みと勘違いすることもあります。
口を大きく開けると痛みが出たり、機能的な問題が生じて口があまり開かなくなったりする場合があります。あくびをした瞬間に凄い痛みが出た!という方もいます。
口を開け閉めしたときに、顎関節がカクカク鳴るのも、顎関節症の症状のひとつです。この音をクリック音といいます。音のみで痛みを伴わない場合もあります。
勉強中や仕事中、私生活の中で頬杖をつく癖があると、片側の顎関節に負荷がかかり、顎関節症の原因になる場合があります。
横向きで寝る習慣がある場合、同じ方ばかり向いて寝ると、下になった方の顎関節に負担がかかり、痛みの原因になることもあります。
寝ている間に歯ぎしりをしたり、集中しているときなどに歯を噛みしめる癖があったりすると、顎関節に負担がかかり、炎症が起こる原因になります。
スポーツをしていると、野球で球を打つ瞬間、サッカーでヘディングをする瞬間など、歯をくいしばるシーンが多々あります。このくいしばりが、顎関節に負荷をかけています。また、楽器演奏では、特に吹奏楽で管楽器などを扱う場合、顎関節症の原因になっていることがあります。
怪我や事故などで顎関節付近を打撲するなどのダメージを受け、顎関節症を発症することもあります。
顎関節症の原因は、多くが生活習慣によるものです。頬杖や寝相などにより、顎関節が歪み、痛みが出ます。一番の予防は、生活の癖を見直すことです。上に述べたような癖が無いかチェックし、歯ぎしりや噛みしめなどをしている自覚がある場合は、なるべく意識して辞めるようにしましょう。
寝ている間の歯ぎしりや、スポーツ中の噛みしめなど、自分で制御しにくいこともあります。その場合は、口腔外科などでマウスピースを作成してもらうと良いでしょう。マウスピースを使用することで、顎関節にかかる負担を軽減し、顎関節症の予防をしてくれます。
また、クリック音が鳴っているけれど痛みは無いという場合、無闇に音を鳴らさないようにしましょう。気にしてカクカクと顎関節を動かしていると、顎関節症が悪化し、痛みが出てきてしまいます。
顎関節症かもしれないと思ったら、まずは口腔外科に行ってみましょう。顎全体のレントゲンを撮って顎関節の変形が無いかどうか確認し、痛み止めや筋肉をほぐす薬を処方してくれることもあります。症状や原因によっては、その場でマウスピースを作成してもらえる場合もあります。大体は保険診療内で診察してもらえるかと思います。
顎関節症を疑う場合、くれぐれも、自分で闇雲にマッサージしたり、口を開け閉めする運動をしたりすることはやめましょう。顎関節症が悪化する可能性が非常に高いです。顎関節症は、一度発症すると、長く付き合っていかなければならない疾患です。専門家に相談して、しっかり治療することが大切です。
※上記コラムに関するご質問・ご相談は、虎ノ門(神谷町)の歯科、岡田歯科クリニックへご連絡下さい。