院長コラム
2024.10.13
毎日の歯磨きを念入りに行っても、ちょっと甘いものを食べたりするとすぐに虫歯ができてしまいます。小さなお子さんなどは特にその傾向がありますね。今回は、歯の健康を守るフッ素について注目したいと思います。
私たちの歯は象牙質がやわらかく、何度も繰り返し噛むことで磨耗するのを防ぐため、表面上に硬いハイドロキシアパタイトと呼ばれるエナメルでできた層があります。このエナメル質は非常に強い組織ですが、食べかすに繁殖した菌が酸を作り出すと、その固いエナメルが破壊されてしまいます。これが齲蝕(虫歯)と呼ばれている現象です。
お口の中には良い菌や悪い菌など、様々な細菌が住みついていますが、そのなかでも、虫歯の原因菌といわれるのが、ミュータンス菌です。この菌が細菌が作り出す酸によって歯が溶かされていくことで虫歯になってしまいます。
フッ素は、私たちの歯の表面にあるエナメル質、ハイドロキシアパタイトに触れると、フルオロアパタイトというフッ素化合物に変化させます。このフルオロアパタイトにより、歯が虫歯になりにくい状態を作るのです。
具体的にフッ素によりフルオロキシアパタイトへと変化した歯は、どのような効果をもたらすのでしょうか。
歯はどんなに大切にしていても、目に見えない小さな傷が増えていくものです。固いものを食べているのだから当然ですね。ですが、傷ついてしまっても、唾液と組み合わさり目に見えない傷を修復しています。これが再石灰化と呼ばれているもので、唾液の中のカルシウムとリンが補給され、歯を少しずつ修復していくのです。
フルオロキシアパタイトの性質のひとつに、ハイドロキシアパタイト以上に再石灰化を促進するというものがあります。毎日のダメージからより回復しやすくなり、虫歯をできにくくしていきます。
フルオロキシアパタイトは、エナメル質の表面を変化させてフルオロキシアパタイトと呼ばれる物質で層を形成します。もともと歯の構造として、中心に歯髄(神経)、その周りに象牙質、一番外側にエナメル質が存在しますが、さらにその外側をフルオロキシアパタイトでコーティングした形をとることができます。フルオロキシアパタイトもかなり硬質の物質で形成されており、エナメル質を保護して傷つくのを防止します。
さらに、年齢を重ねたり、酷使していくと、だんだんと表面のエナメル質が磨耗していき、象牙質が露出しやすくなります。しかし、この状態もフルオロアパタイトでコーティングすることによって補強でき、神経に近くなることで浸みたり痛みが出たりする知覚過敏を抑えることができるのです。
虫歯がどうしてできるのか、というと、口の中に食べかすが溜まり、そこに虫歯の原因となるミュータンス菌が増殖してしまうからです。言ってみれば、この食べかすを適切に除去した状態を保っていれば、ミュータンス菌の繁殖を抑えることができますから、虫歯を予防することができます。
フッ素で歯をコーティングすることで、エナメル質以上に歯にプラークがつくのを予防してくれる効果があります。プラークでミュータンス菌が繁殖して酸を作り出すと、口腔内が全体的に酸性になりやすいです。しかし、その要のプラークが生成しにくいため、自然と口腔内の酸性度を下げ、虫歯ができにくくなるというわけです。
毎日丁寧に磨いていても、磨き残しは発生するものですし、また、年齢と共に歯の状態少しづつ劣化していきます。虫歯はなってから治す人がとても多いですが、そうではなくフッ素をうまく活用して、虫歯を予防をすることが一番大切なのです。
※上記コラムに関するご質問・ご相談は、虎ノ門(神谷町)の歯科、岡田歯科クリニックへご連絡下さい。